エリコさんは、何を考えてるかよくわからないよね。
学生時代から、何度となく言われた言葉。
クラスメイトから、
大学の同期から、
職場の同僚から、
保護者から。
その度に
「私も、あなたたちのことなにも知らないけど」
と心の中で返答してきた。
不思議だった。
私以外の他者はそれぞれに、何を考えてるかなんとなくわかるくらいには知り合っているということなのだろうか。
そして、さらに不思議なことに「あなたは何を考えているかわからない」と言った人の大半は、実際に私が何を考えているのかを問うて来ることはなかった。
不思議だ。聞かれたら話すのに。
拒否したこともない。
聞かれないから、話すこともない。
聞かれたら、話す。
「エリコさんって…。」
そっと、静かな緊張感を持って、私のことをたずねてくれる人がいる。
聞かれたら、話す。
私が話したことについて、丁寧に返してくれる。
私も「じゃあ、あなたは...。」とたずねる。
そうやって、ゆっくりとやさしく、友人になっていく。
ありがとう。
私が何者であるかを誠実にたずねてくれた人たちへ。
ありがとう。
私がたずねた時、誠実にこたえてくれた人たちへ。
これからも、知らない誰かについて知ろうとし、たずねることをしよう。
母国語が日本語ではない方が目の前にいたら、
私が受け取ったやさしさを与えられる人でいたい。
私は日本に住んでいる者として、
日本に住む外国人を誰一人排除しない。
私は、なにも聞かれなければ「得体の知れない人」のまま。
でもひとつ聞けば、ひとつ分、ふたつ聞けばふたつ分、「知っている人」になる。
だから私も聞いてみる。
知っていけば、すぐさま脅威にはならない。
為政者たちの悪意に引き寄せられるな。